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椎骨脳底動脈循環不全

椎骨脳底動脈循環不全とは

 心臓から上に向かう大動脈は、首の前側を通る頸動脈と、首の後ろ側の頸椎の中を通る椎骨動脈に枝分かれし、脳の中に入り、さらに枝分かれして脳内の隅々にまで血液を送っています。

 このうち、椎骨動脈は脳内に入ると脳底動脈になり、脳幹や小脳、後頭葉や内耳にも血液と栄養を送っています。 この椎骨動脈または脳底動脈の血流が何らかの原因で滞ると、脳幹や小脳に栄養が届かなくなり、めまいや手足のしびれ、頭痛、目のかすみ、舌のもつれなどの症状を引き起こします。 これが椎骨脳底動脈循環不全です。

ぐるぐるくらくらで気持ち悪い

 めまいの症状は、首をひねったり、急に上をむいたり、うつむいたりした時に、椎骨動脈や脳底動脈が圧迫され、血液の流れが悪くなって起こります。 回転性のめまいのほか、クラクラしたり、ふらついたりした感じのめまいが起こる場合もあります。

 頭の位置を変えることで発症するという点では、良性発作性頭位めまい症と似ていますが、良性発作性頭位めまい症(2分以内にめまいが治まる)に比べて、めまいの続く時間は長く、数分から数時間にも及びます。

 めまいとともに、難聴や耳鳴りなどの耳の症状が現われることはほとんどありませんが、手足の痺れや頭痛、嘔吐や吐き気、物が二重に見えたり、霧がかかったように見えるなどの視覚障害や、意識が遠のくなどの意識障害を伴うことがあります。

椎骨脳底動脈循環不全の原因

 椎骨動脈や脳底動脈に血流障害が起こる原因としては、動脈硬化や頸椎の変形、椎骨動脈が生まれつき細いなどの先天的な異常等があげられます。 動脈硬化や頸椎の変形は老化によって起こりやすいので、50代以降のひとに多くみられます。

椎骨脳底動脈循環不全の治療

 椎骨・脳底動脈循環不全の症状が現われた場合は、脳神経外科を受診しましょう。 MRIやMRAなどの画像検査と症状から診断がつきます。 治療は、血液の粘性を調整したり、血圧をコントロールしたりする薬物療法を中心に行われます。 椎骨・脳底動脈循環不全は、一時的な血流障害であり、発作後、症状も消えてしまうことから、軽視される場合がありますが、動脈硬化が原因である場合には、脳内の他の動脈にも動脈硬化が広がっているおそれがあるので注意が必要です。

頸性めまいについて

 椎骨脳底動脈循環不全に似て、首を動かした時にめまいが起こる病気に「頸性めまい」があります。 頸性めまいは、首を回転させたり、後ろにそらせたりすると、椎骨動脈が圧迫されて、狭窄が起こり、脳への血流量が不足してめまいを起こす病気です。 症状の現われ方は椎骨・脳底動脈循環不全と同様ですが、原因は動脈硬化ではなく、主に変形性頸椎症やむち打ち症による頸椎の変形にあります。

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