内耳炎
内耳炎とは
内耳炎とは、主に慢性中耳炎の炎症が、中耳と内耳を隔てている内耳窓を通して内耳に広がって起こる病気です。 近年では、抗生物質の普及によって中耳炎から内耳炎に移行するケースは少なくなりましたが、逆に抗生物質に耐性のある細菌も増えてきているので、なかなか治らない人もいます。
慢性中耳炎の炎症が内耳に少しずつ及んでいく段階で、内耳障害が起こり、最初は軽いめまいや難聴、耳鳴りが生じることがあります。 内耳炎に進行すると、聴力が大幅に低下し、回転性めまいも現れてきます。 めまいには慣れてくるので、しだいに症状は治まってきますが、炎症により障害された感覚細胞は修復できないため、高度に進行した難聴の回復は困難となります。
他の原因の内耳炎
内耳炎の多くは、中耳炎から移行して発症しますが、他にもウイルス性内耳炎、髄膜炎性内耳炎があります。
ウイルス性内耳炎は、おたふくかぜやインフルエンザ、はしかなどの原因となるウイルスが血液中に入り込み、体内を回って、内耳に感染するものです。 これらの病気にかかった後、片側の耳に高度難聴が現れたときはウイルス性内耳炎が疑われます。
髄膜炎性内耳炎は、髄膜炎(高熱、激しい頭痛、嘔吐、首の後ろの硬直)を引き起こす細菌やウイルスが血流にのり、内耳に感染することにより起こるものです。 髄膜炎と診断された後、めまいや難聴などの症状があらわれたときには髄膜炎性難聴が疑われます。
内耳炎の治療
内耳炎の治療は、原因が細菌の場合には抗生物質による治療が優先して行われます。 これと並行して、めまい・耳鳴り・難聴への対症療法として、抗めまい薬や、末梢血管拡張薬・血流改善薬、ビタミン剤などを組み合わせて投与します。 高度難聴が急激に起こった場合にはステロイド薬が使われることもあります。
通常、内耳炎は抗生物質を中心とした薬物療法で回復し、内耳炎がよくなれば、めまいの症状もなくなりますが、難聴は回復が見込めないことが少なくありません。