ハント症候群
ハント症候群とは
みずぼうそうや帯状疱疹の原因となる水痘・帯状疱疹ヘルペスウイルスが、顔面神経やその周辺に感染して起こる病気をハント症候群(耳性帯状疱疹)といいます。
ハント症候群になると、頭や耳の周り、耳の後ろに鈍痛が現れ、数日のうちに耳介や外耳道に、痛みやかゆみを伴った赤い水疱が出てきます。 こうした症状と合わせて、顔面神経まひ(顔の筋肉がゆるみ、片側の目が閉じなくなったり、口が閉じなくなったりする症状)も生じます。
顔面神経まひは、顔面神経にヘルペスウイルスが感染したことによって起こりますが、顔面神経のすぐ近くを聴神経(聴覚をつかさどる蝸牛神経と、平衡感覚をつかさどる前庭神経)が通っていることから、これらの神経も影響を受けることがあり、耳鳴り・難聴・めまいなどの症状が現われる場合があります。 症状の程度はまちまちですが、めまいについては、回転性めまいが多いようです。
ハント症候群の治療
水泡・帯状疱疹ヘルペスウイルスには、ゾビラックス(アシクロビル製剤)という特効薬があり、これを発症初期に投与すれば、早く回復します。 神経周辺の炎症が強い場合には、短期間にステロイド薬を投与するのも有効です。 この場合、水泡は通常1週間ほどで消えますが、顔面神経まひや痛み、耳鳴りや難聴はその後も残ることがあり、長期的な治療が必要になります。
神経の働きを改善するには、末梢血管拡張薬・血流改善薬、ビタミン剤などを、顔面神経まひに対しては、ステロイド薬の投与とあわせて、顔面のマッサージや、顔面筋を自分の意思で積極的に運動させる理学療法を行うと効果的です。